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第18回 ジオパークと国立公園 ~環境省レンジャーの謎~


 
こんにちは、環境省浦富自然保護官事務所の寺内です。

今回は、謎に包まれる(?)環境省の現場職員の仕事について、ちょっとだけ明らかにしたいと思います。

山陰海岸は、ユネスコ世界ジオパークであり、国立公園でもあります。私たちの主な仕事は、山陰海岸国立公園の管理運営です。山陰海岸国立公園の環境省の出先事務所は、竹野自然保護官事務所と浦富自然保護官事務所で、竹野に3名、浦富に2名の、計5名が勤務しています。たった5名です…(国立公園の『希少種』扱いされることもしばしば)。内、2名が正規の環境省職員(レンジャー)、3名は期限付きの職員(国立公園利用企画官・アクティブレンジャー)です。いずれも1~3年の任期です。当然、5名では国立公園の全体を把握し、管理していくことなどできません。府県や市町の職員、専門家、地域の団体、ボランティア、アクティビティ事業者、そしてジオパーク推進協議会などのみなさんとの協働によってはじめて、国立公園が保護・管理運営ができるのです。

では、短い期間の任期の中で私たち環境省職員に何ができるのか。正規職員は全国を転々と異動し、環境本省にも勤務します。その中で全国の優れた事例を知り、がんばっている人たちとの人脈を持っています。期限付きの職員も、前職などでいろいろな知見や人脈を持っています。勤務先でそういった事例や人脈を活かし、またそこで得た事例や人脈を次の勤務先で活かしていくのが私たちの重要な役割であり、この仕事の醍醐味だと思っています。

去る令和4年3月10日に行った「山陰海岸ジオパークトレイルの魅力と活用 現地視察報告・勉強会“みちのく潮風トレイル”の皆さんをお迎えして!」がまさにその好例です。令和3年3月まで竹野自然保護官事務所に勤めたレンジャーが前任地でみちのく潮風トレイルの整備・利用推進を担当していたことから実現したものです。

御三方には前日から当日の午前と3コース計約20kmを歩いていただき、コースの評価、ガイディングのあり方、利用推進のために必要なコト・モノなどについて助言をいただきました。この勉強会を通じて、私たちも参加された皆さんも、ジオパークトレイルの資源に誇りを持つことができ、また今後取り組むべきことが明らかとなり、非常に意義深い会となったと思います。

最後に、レンジャーの仕事の概要について。

筆者は「山に登ってお金がもらえる仕事がある」と聞いてレンジャーになったのですが、まぁ実際はそんなにうまい話があるはずもなく、仕事の大半は事務作業です。

日本の国立公園では、公園内で生活や生業が行われており、住宅を建てたり木を伐ったりする際の「許認可」が大きな比重を占めます。公園計画や管理運営計画などの検討、ビジターセンターや登山道などの施設整備や維持管理も重要な仕事です。

時には学校で講義をしたり、子どもたちと一緒に現場を歩いたりもします。その子たちが地域の自然に誇りを持ち、将来自然保護に取り組んでくれたり、自然ガイドになったり、あるいはレンジャーになって一緒に仕事ができるとうれしいですね。

こんなところで、環境省のレンジャーに対する謎(不審感?)が少しでも解消されたでしょうか(笑)。お読みいただいたみなさんからいただく情報が私たちの糧になります。是非、お気づきのこと、思いついたことなど、お気軽にご連絡いただけましたら幸いです。


投稿者:環境省浦富自然保護官事務所自然保護官  寺内 聡

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