山陰海岸ユネスコ世界ジオパーク

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山陰海岸ジオパーク

ジオがもたらした人々の暮らし

ジオがもたらした人々の暮らし

山陰海岸ジオパーク内では起伏や変化に富んだ地形を利用して、様々な地域産業が育まれてきました。

水産業

水産業では、日本が大陸から分かれたことで誕生した日本海がほとんど入れ替わりのない冷たい「日本海固有水」で満たされており、その表層を「対馬(つしま)暖流」が流れているため、寒海性と暖海性の両方の魚介類に恵まれています。

日本海固有水は、水深200m より深い中層・深海域で、ズワイガニ、ベニズワイガニ、クロザコエビ、アカガレイ、ハタハタ、ホタルイカ、ノロゲンゲなどの寒海性の生きものがくらしています。一方、日本海の表層には対馬暖流が流れており、クロマグロやブリが回遊し、スルメイカやトビウオなどの暖海性の生きものがみられます。

山陰海岸ジオパーク内には有名な漁港が数多くあり、これらの日本海の海の幸が多く水揚げされています。ズワイガニ(松葉がに、柴山がに、津居山がに、間人がに)、ベニズワイガニ(香住がに)、クロザコエビ(もさえび)、ソウハチガレイ(えてがれい)、ハタハタ(白はた)、そしてケンサキイカ(白いか)などのように、各地域の特産となっています。また、波食棚を使用した岩海苔摘みも行われています。

農業

稲作では、地すべり地帯や海岸段丘を利用して作られた「棚田」がみられます。例えば、袖志(そでし)や和佐父(わさぶ)、貫田(ぬきた)などがよく知られており、景観としても楽しまれています。砂丘地では、古くから鳥取大学が砂丘の農業利用の研究を行ってきたこともあり、各地で高品質な特産品が生産されています。鳥取砂丘では高度な砂防と灌水(スプリンクラー)の整備により、広大なラッキョウ畑が開拓され、全国有数の産地となっています。丹後砂丘では、水や肥料をコントロールしやすい砂地の利点を生かした果物栽培(スイカやメロンなど)が盛んです。

畜産では、黒毛和牛の但馬牛が有名です。但馬内陸部の山々に囲まれた険しい地形では谷どうしで牛の交配できなかったことで、優良な血統が守られてきました。現在この但馬牛の血統を守るためのシステムは日本農業遺産および世界農業遺産(GIAHS)に認定されています。

観光とレクリエーション

山陰海岸ジオパークには断層に沿って温泉が数多く点在し、有数の観光地にもなっています。木津(きつ)温泉(京都府)、城崎温泉湯村温泉(兵庫県)、岩井温泉吉岡温泉(鳥取県)などは千年以上の歴史をもつ名湯で、古くから文人墨客に愛されてきました。

北但(ほくたん)層群、照来(てらぎ)層群からなる有数の地すべり地帯である鉢伏(はちぶせ)地域では、この地形を利用して、冬はスキー、夏はパラグライダーなどが楽しめます。近畿で一番新しい火山である神鍋山などにも、この傾斜を利用したスキーゲレンデが作られています。また、鳥取県青谷町(あおやちょう)には、安山岩の台地が削られることで、多くの滝がみられます。その豊富な水源を活用した和紙の伝統が古くから受け継がれており、現在は紙すき体験のできる「因州和紙の里」にもなっています。

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