山陰海岸ジオパーク

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第10回 山陰海岸沿岸の多様な生きもの ~ウミウシに注目して~

鳥取県立山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館 生物担当学芸員の小矢野です。
8月になり、山陰海岸沿岸が大変賑い、海のアクティビティも盛んです。今回は山陰海岸の海の生物で、ウミウシについて書いてみたいと思います。

お客さんにウミウシを紹介すると、お年寄りの方は春先に緑藻を食べているアメフラシを連想し、若い方はカラフルなアオウミウシを連想したりしますが、両方ともウミウシの仲間です。ウミウシは貝殻が消失または部分的に退化した海産巻貝類の呼称です。

山陰海岸沿岸は、岩礁の起伏が激しく複雑に入り組んでいるので、多くのウミウシが棲む岩場が豊富にあります。ただ、ウミウシが食べているものは、アオウミウシなどの場合、カイメン(海綿)というスポンジ状の付着生物で、どこでも生えているわけではありません。山陰海岸の岩場は陽当たりの良い浅い場所では海藻で覆われていて、そこで私たちが海面に浮かんで漠然とウミウシを探しても、あまり見つかりません。少し深く潜って、岩陰や洞窟などに注目すると多くのウミウシがくっついています。そう、ウミウシが食べるカイメンは、光が届きにくく海藻が生えにくい所に生えているのです。私は、岩礁の複雑な地形が多い山陰海岸でどれくらいのウミウシ類が生息しているのか興味が湧きました。

私はウミウシの専門家ではありませんでしたが、数名の専門家や延べ20名ほどのダイビングインストラクターに協力いただいて、2018~2019年に鳥取県岩美町の浦富海岸沿岸を中心にウミウシ類の調査を行ってみました。その結果、134種も見つかりました。日本のウミウシ類は1200種とも1400種とも言われており、少なくとも1割が山陰海岸で見つかったことになります。その後も、新たに追加されています。また、生息数はというと、最も多い場合、6月に浦富海岸沖の水深15mにある、長さ20mほどの岩場で1回50分の潜水調査をした際、20種172個体見つかることもありました。こうなると、足(ヒレ)の踏み場もないくらいいます。私が想像していた以上に多すぎました。

 
クリヤイロウミウシ  体長3cmほど。年に1回ぐらいしか見られないウミウシもいる。


投稿者:山陰海岸ジオパーク海と大地の自然館 小矢野悠造
ootayu@pref.tottori.lg.jp

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