児童研究作品コンテスト
~自分たちの地域の特徴を調べてみよう~

山陰海岸ジオパーク児童研究作品コンテスト審査結果
~入賞作品の発表(令和7年度)~

山陰海岸ジオパーク推進協議会では、山陰海岸ジオパークエリアの全小学生を対象に、同エリア内の地形・地質、動植物、 歴史・文化、産業・観光等に関する研究作品を募集し、コンテストを開催しています。

令和7年度は36点の応募作品があり、審査の結果、19作品が入賞作品に選ばれました。入賞された皆様、おめでとうございます。また、関係者の皆様にも厚く御礼申し上げます。

1 選考結果

入賞作品19点(最優秀賞2点、優秀賞4点、優良賞6点、ユニーク賞3点、努力賞4点)

児童作品コンテスト最優秀賞

ジオパーク山陰海岸の砂の供給源

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作者:上田 結心 さん
(豊岡市/豊岡小学校6年)
講 評

山陰海岸の5つの海岸の砂が違う理由を地質図や海流図を用いて大変丁寧に調べることができました。地質の違いについても詳しくわかりやすくまとめられています。調べた結果から読み取れることを自分なりに考え、しっかりとまとめられています。予想を立て、調べた結果をわかりやすくまとめ、わかることを読み取り、自分なりの考察をしてまとめるという研究の流れをしっかりと発表することができており、大変すばらしい研究でした。

身近な海岸の砂鉄を調べよう!

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作者:田中 綾花 さん
(新温泉町/浜坂東小学校6年)
講 評

7カ所の砂浜海岸で砂鉄を取るだけでなく、重さを比べたところが興味深かったです。砂鉄がなぜ砂の中に含まれているのか、その由来にまで着目し、インタビューしたところが評価できます。岸田川を辿ると上流には扇ノ山がありますが、上流の山の岩石などとの関連を調べるとさらにわかることがあると思います。5年間たくさん調べられましたね。中学生になってもぜひ山陰の宝であるジオパークのことを調べつづけてください。

児童作品コンテスト優秀賞

巨大アリジゴクのなぞにせまる!

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作者:山口 桔平 さん
(鳥取市/大正小学校4年)
講 評

オオウスバカゲロウの幼虫から成虫までを飼育観察し、わかりやすくまとめられています。オオウスバカゲロウは砂丘地にすみ巣を作らないので、みつけにくく貴重な昆虫になっているようです。幼虫の時の食性や獲物の捕り方などが詳しく観察されています。オオウスバカゲロウは鳥取砂丘を代表する昆虫だということで、鳥取砂丘の自然を大切に守ると共に、この貴重な昆虫を残すためにも、今後の山口さんの研究が楽しみです。

鳥取砂丘の消えたオアシス

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作者:宮脇 さら良
(鳥取市/大正小学校5年)
講 評

鳥取砂丘にできるオアシスについての調査を進め、山陰海岸ジオパーク認定ガイドの方にインタビューを行ったり、過去の新聞記事を調べたりすることで、オアシスの出現時期や規模の変化を詳しく調べることができ、大変素晴らしいです。また、気象庁の月間降雨量のデータを分析し、降水量とオアシスの発生との関連性を探り、自然現象と気象条件のつながりを実感できています。今後は、オアシスが砂丘の生態系にどのような影響を与えているのか、そこに集まる動植物の特徴や役割についても調べてみると思わぬ発見があるかも知れません。

海水から塩を取り出そう

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作者:小谷 知佐妃 さん
(香美町/長井小学校5年)
講 評

海岸の場所によって海水の塩の量や大きさ、砂の色や大きさに違いがあるのかについて調べた作品です。塩を取り出す方法も工夫して容器による違いを調べていて、とても面白かったです。それぞれについて日による重さの違いを表にしてまとめていたり、実際に取れた塩や砂を並べて貼っていたりと、とても見やすい作品になっていました。塩や砂の違いがなぜできたのかもぜひ考えてみてもらいたいです。

砂丘の緑化について~砂丘の今にせまる!~

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作者:前川 ひなた さん
(鳥取市/福部未来学園6年)
講 評

授業で学んだこと、砂丘についてもともと持っていた知識をもとに新たな疑問が生みだされ、それを詳細に調べたことがよくわかる内容でした。方法や準備物、結果のところがとても丁寧に記録されていて素晴らしい自由研究です。ジオパークとの関係を強める意味では、草の生えているところとそうでないところの違いは風の流れとも関連があるので、もし調べる機会があれば是非調べてみてください。

児童作品コンテスト優良賞

こうぶつさがし

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作者:河上 創亮 さん
(岩美町/岩美南小学校1年)
講 評

将来の夢が、宝石・化石博士になるというのはすばらしい夢ですね。その夢に向かって博物館のイベントに参加して、鉱物を探し、顕微鏡で写真を撮影して丁寧にまとめることができました。鉱物の名前を調べるために、学芸員に直接尋ねることができたのもよかったと思います。採集した鉱物は、採った場所や日付などを記録して、標本として大切に保存すると、博士になったときに役立つと思いますよ。

おんせんびより 第2だん

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作者:西亀 こはる さん
(岩美町/岩美南小学校3年)
講 評

各温泉は、地下水が大地の熱によって温められたり、いろいろな成分を含んだりすることで、いろいろな特徴を持っています。今回の研究は、いろいろな温泉の酸・アルカリの性質を身近な紫キャベツの色の変化で調べることができました。ジオパークエリア内のたくさんの温泉を調べることができたのはすばらしいと思います。また、海岸に近い温泉と山側にある温泉を比べるなど、温泉の場所による違いなども調べるとさらにおもしろい研究になると思います。

ジオパーク産のきのこの観さつ

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作者:澤 哲平 さん
(岩美町/岩美西小学校4年)
講 評

近くの駟馳山(しち山)でキノコを採り観察しようとしましたが、今年の夏の暑さと熊の出没情報によって駟馳山での採取は断念せざるを得ず残念でした。かわりにスーパーで売られている地元産のキノコを使い丁寧な観察を行い、きん糸の伸びる様子をグラフに示すことができました。キノコを育てる条件は気温や湿度、日照などにより微妙なものですが、寒天培地を作り観察までの準備が大変だったと思います。

クロマツが岩から生えるナゾ

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作者:萬 翔太 さん
(新温泉町/浜坂西小学校4年)
講 評

岩から生えている松を見て疑問に思い、その理由について詳しく調べることができています。見たもの、聞いたことから疑問に思い、自分で調べようとする姿がとても立派です。松の根はとても強くて粘りがあるため、岩の割れ目やわずかな隙間に入り込み、そこから少しずつ岩を押し広げて、根を張っていきます。今後の研究も岩の上に生える松のように粘り強く、小さな疑問から出発して、少しずつ知識を広げていってほしいと思います。自分の目で見て、心で感じたことを大切にしながら、探究の道を歩むことを期待しています。

鉱山に行って鉱石をとりに行ってみよう

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作者:横山 幸音 さん
(岩美町/岩美北小学校5年)
講 評

鉱山にある鉱石に強い興味を持ち、しっかりとした仮説を立てたうえで、実際に現地まで足を運び、自ら調査を行った姿勢は大変素晴らしいです。その過程で採取した鉱石を、様々な専門家に相談し、知識を深めていく取り組みもとても意義があります。今後は、さらに多様な鉱石に目を向け、それぞれの特徴や使われ方を整理しながら研究を進めることで、もっと広い視野を持った探究活動へと発展させていけるでしょう。これからも「知りたい!」という気持ちを大切に、楽しく学びを広げていってください。

旧岩美鉱山から学んだこと

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作者:森田 壮祐 さん
(鳥取市/遷喬小学校6年)
講 評

山陰海岸ジオパーク内の歴史的遺産である旧岩美鉱山について、鉱山から出される排水処理にスポットを当て、多くの人の取り組みによって、身近な川の環境が守られてきたことをわかりやすくまとめています。また、鉱山の歴史を環境問題のみならず、人権の視点などでも取り上げており、岩美鉱山が、私たちにいろいろなことを教えてくれることを伝えている作品です。今後は、他の鉱山など、地質遺産を利用している施設について調べることにより、岩美鉱山の魅力がより深く認識できると思います。

児童作品コンテストユニーク賞

ジオパークの海水の比かく

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作者:上田 奏空 さん
(豊岡市/豊岡小学校4年)
講 評

13か所の海岸の水の色や味、塩を取り出す作業は大変だったと思います。それぞれの海岸の写真、取り出した塩の実物を掲示し、わかりやすく表にまとめられています。気づいたことに述べられていますが、塩分濃度が海岸の地形により違うのはおもしろい視点です。近くの河川や海流の流れなど、その他の地形との関係を調べてみるとおもしろいと思います。味の感じ方は人により違うので、複数人で行うと良かったと思います。

いろんな水の性質を知ろう

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作者:西亀 春輝 さん
(岩美町/岩美南小学校4年)
講 評

山陰海岸ジオパーク内の8か所の地点の水の性質(酸性・中性・アルカリ性)がわかりやすく示してありました。自分の予想に反して、すべて中性でなかったのはなぜかを考察でわかりやすく説明してくれました。家で育てたむらさきキャベツを使って酸性、中性、アルカリ性を調べたのはユニークな取り組みです。池や水の溜まっている場所では気温や日照時間による植物プランクトンの影響も考えられるので、水を採取した時間、天気なども記録しておくと良いでしょう。

美しいと言われる岩美の海は、なぜ美しいのか?

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作者:田口 陽斗 さん
(岩美町/岩美北小学校4年)
講 評

海が美しいと言われる理由を地形だけではなく、海水や砂浜の成分などから考察するのは面白いと思います。その理由を解き明かすために、岩美の海の景観がどのように形成されたのか、構成する岩石の成分は何かなど、様々な視点から調べられており、写真もあるので分かりやすくなっていました。その上で「いわみん」が何をモチーフにしているのかよく分かりました。次はこの岩美の海の美しさをいろいろな人に伝えるための方法も考えてみてください。

児童作品コンテスト努力賞

たけのはまのいきものをしいくしてみた!!

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作者:服部 真凪 さん
(豊岡市/竹野学園前期課程2年)
講 評

竹野浜海水浴場には、たくさんの生き物がいるんですね。去年の夏休みの研究をさらに深める研究だったと思います。それぞれの生き物を飼育するのはたいへんだったと思います。毎日、餌を与えて何を食べるか調べたり、水温や生き物の大きさなどを観察したりして、しっかりと記録することができました。今回の研究を通じて、竹野浜が大好きになったことが一番よかったと思います。

スナガニの研究

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作者:瀧本 京介 さん
(豊岡市/豊岡小学校4年)
講 評

スナガニの巣穴の数と、スナガニの行動を、たいへん詳しく観察することができました。半径2mの円を描いて、その中のスナガニの巣の数の時間的な変化を調べたことは、とても科学的な調査方法でした。そして、スナガニの穴を掘る様子や動きを、大変詳しく観察しましたね。毎年、同じ場所でスナガニの観察をすると、その海岸の環境の変化なども調べることができるかも知れません。ぜひ、継続研究をしてほしいと思います。

消えたイトマキヒトデのなぞ

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作者:松岡 美都 さん
(新温泉町/浜坂北小学校5年)
講 評

イトマキヒトデが少なくなっていることを聞いて、疑問に思い、岩美町、新温泉町、香美町、豊岡市など複数の場所で漁師さんたちにインタビューしている姿が大変素晴らしいです。インタビューの結果、一部の漁師さんしかイトマキヒトデをとっていないことに気づき、新たな疑問を生みました。疑問を解決するために行動し、そこから新たな疑問を生み出す活動は、研究するうえでとても重要な姿勢です。自ら現地に足を運び、情報を集めることで、より深い理解につながります。今後もこのように、身近な自然や社会の変化に目を向け、粘り強く探究を続けていってほしいと思います。

砂の中の砂鉄調べ

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作者:川勝 聡太朗 さん
(岩美町/岩美西小学校6年)
講 評

身近な海岸から砂鉄を集めながら、山陰海岸ジオパーク内の各砂浜の砂鉄量の違いに興味を持ち、白兎海岸から八丁浜海水浴場の広い範囲で調べているのは立派です。予想の中で、砂鉄量の違いを河川の大きさや上流の地形と関連させて考えようとしている視点は面白いです。最後のわかったことの中に、予想の視点がもう少し加われば、砂鉄量が違う原因をより深く考えることができると思います。

2 募集期間

2025(令和7)年9月1日(月)から10月1日(水)まで

3 応募点数

36点

4 審査委員会

下記のとおり審査委員会を開催し、入賞作品を決定しました。

審査委員会

日 時 2025(令和7)年10月29日(水)  14時~16時
場 所 香住B&G海洋センター(兵庫県美方郡香美町香住区境1125)
委 員 山陰海岸ジオパーク推進協議会 教育部会員
審査委員長 谷本 勇(新温泉町山陰海岸ジオパーク館 館長)
教育部会=ジオパーク活動を通じた科学教育・郷土学習・体験学習の展開について、協議・検討を行う部会。構成は、教育関係者や有識者等。

5 問い合わせ先

山陰海岸ジオパーク推進協議会
〒668-0025 兵庫県豊岡市幸町7-11(兵庫県豊岡総合庁舎内) TEL.0796-26-3783