第1回山陰海岸ジオパークステップアップ会議(鳥取会場)を開催しました。

開催概要

主   催 山陰海岸ジオパーク推進協議会

日   時 令和元年7月4日(木)13:30~16:30

会   場 鳥取県立博物館 講堂(鳥取県鳥取市東町2丁目124)

講   師 一般社団法人JEAN 事務局長 小島あずさ氏

パネリスト 1.一般社団法人JEAN 事務局長 小島あずさ氏

      2.鳥取県漁業協同組合 漁政指導部長 前嶋宏氏

      3.兵庫県立豊岡総合高等学校 インターアクトクラブ 岩本敏浩氏

      4.鳥取大学農学部生命環境農学科 准教授 田川公太朗氏

      5.琴引浜ガイドシンクロ 丸田智代子氏

      6.山陰海岸ジオパーク推進協議会 村尾久司氏

参 加 者 150名(ジオガイド、民間団体、地元住民、行政職員など)

内   容 1.SDGsについて

      2.基調講演「プラスチックによる海洋汚染」

      3.パネルディスカッション

      4.山陰海岸ジオパーク行動計画改訂について

R1基調講演報告(別紙1)

R1パネルディスカッション報告(別紙2)

アンケート結果(別紙3)

 

(1)基調講演概要

講 師 一般社団法人JEAN 事務局長 小島あずさ氏

【概 要】

海ごみ、特にプラスチックごみについて、問題点、移動の仕組み、環境への影響、プラスチックの歴史、JEANの活動、私生活での実体験を交えながら講義いただき、結びに「私たちにできること」について講師の考えを述べられた

【内 容】

海ゴミは昔からあったもの

しかし材質と量が変わった。昔のゴミは天然素材から作られていたので自然にかえる。使い捨てという習慣がなかった。今では大量にプラスチック製品を使うようになり、使い捨ても増えた。その結果、現在では海のゴミの7割がプラスチックになっている。

  • 海洋ゴミの問題点

汚い、分解されず残る、拾えないところに流れ着く、動植物への誤飲や絡まりなどの影響、細分化され回収できない、水産物への混入、漁業など経済への影響などがある。

  • ゴミの移動

海流や季節風の影響を受け、海流の上流の国から下流の国へゴミが運ばれる。東南アジアや韓国からのゴミは日本に運ばれ、日本からのゴミはハワイやアメリカ大陸西海岸など様々な国にゴミが運ばれる。日本は都市部が太平洋側にあるため、ゴミの発生量はとてつもなく多い。日本海側では海岸のゴミは回収しても繰り返し再漂着するが、太平洋側から出るゴミは黒潮に乗って流れて行き、すぐ見えなくなってしまう。

拾いに行くことができないゴミ

海底のゴミは、深海では水圧が強く、水温も低いためプラスチックの状態も長く残り続ける。観測はできるが拾いに行くことはできない。崖下のごみはほぼすべて漂着ごみであるがそこに行くための道は無く回収する人もいない。ゴミが2~3m溜まっている場所もある。さらに、ごみが海岸林に入ると移動せず居座り続ける。危険な個所もあり回収が困難。

生物への影響

アザラシなどの動物は若いうちは好奇心旺盛でゴミに絡まりやすい。体が小さな若いうちに絡まり成長するにつれ体にゴミが食い込んでいく。

アメリカのミッドウェイ環礁は人が入れないようにし、環境を手厚く保護しているが、周辺がゴミだらけ。津波によりゴミが打ち上げられ、海鳥の巣周辺がゴミだらけになっている。1000匹を超える海鳥の死骸を解剖した結果、すべての海鳥からプラごみが出てきた。3個体分から出てきたゴミの写真には、日本のごみが出てくる。太平洋の海岸はいろんな国のごみがあるが、研究者によると日本からのごみが一番多いとのこと。

  • プラごみの問題点

分解しない、軽く移動しやすい拾えない場所にも、国、地域を超えて移動する。生物に絡まると外れない。消化しない。有害物質とくっつきやすく有害物質を運ぶ。プラスチックとは、石油から作られた合成樹脂。語源は「柔軟な、形成できる」。

発明当時は「夢の物質」と言われ、1950年代から急速に普及していった。学者は当初からプラごみについて警鐘を鳴らしていたが、実を結ばず今に至る。

世界で年に生産される4億トンのプラスチックのうち2トンが使い捨て。日本人のプラスチック使い捨て量は一人当たり32㎏/年(世界2位)

国際海岸クリーンアップ

世界中で一斉に海ごみの清掃。日本では1990年から取り組まれている。

  • 海ごみの発生源

海以外にも山、街中なども相当量ある。路上や海辺での置き捨て、漁具等の資材流出、別の海から流れてくる、ポイ捨て、不法投棄のゴミなど。日本は雨が多く、川が多い、川の勾配が急であり、町中や山のゴミも海に流れ出やすい。

マイクロプラスチック

一次的マイクロプラスチック→はじめから5mm以下で製造。洗顔料や研磨剤などに含まれる。

二次的マイクロプラスチック→大きなプラスチックが主に自然的要因により砕けたもの。

屋外で使用するプラスチックが紫外線や波浪、衝撃によって古いゴミはどんどん破片化し、人工芝やカラーコーン、衣類の合成繊維などもマイクロプラスチックになる。さらに食物連鎖により生物濃縮されていく。プラスチックごみ問題の世界の認識も徐々に変わりつつあるが、まだまだ課題は山積している。

EUでの取組

使い捨て飲料や食品容器の無償提供禁止。廃棄方法等に関する表示を義務化。普及啓発や回収処理を生産者が費用負担。罰則規定の義務付けなど。

  • 私たちができること

回収活動、発生抑制、普及啓発、環境教育、社会の仕組みの変革を行い、ひとりひとりが行動を変えること。

 

(2)パネルディスカッション概要

パネリスト 1.一般社団法人JEAN 事務局長 小島あずさ氏
      2.鳥取県漁業協同組合 漁政指導部長 前嶋宏氏
      3.兵庫県立豊岡総合高等学校 インターアクトクラブ 岩本敏浩氏
      4.鳥取大学農学部生命環境農学科 准教授 田川公太朗氏
      5.琴引浜ガイドシンクロ 丸田智代子氏
      6.山陰海岸ジオパーク推進協議会 村尾久司氏

 

【内 容】

(小島)各パネリストから一言ずつ言っておきたいことをどうぞ。

(前嶋)日本と韓国の共有の漁場である日韓暫定水域では、韓国漁業者によりカニカゴや刺し網が設置され我が国の底曳網漁業者は操業ができず、韓国漁業者による独占状態が長く続いている。政府にもこの問題を解決するよう働きかけているが、解決に至っていない。

悲しいことに自分たちが操業できない地区を20年間掃除している。

韓国側が放置した漁具等を回収、処分し、海底をきれいにすると、また韓国側が底に網などを設置し操業する。これを20年間繰り返している。そのようなゴミを毎年8月猛暑の中2週間程度の期間で700t程度回収している。

(岩本)インターアクトクラブは国際理解を目的にしている部活動。人と自然の関わり合いの共有をする。ゴミではなく海岸漂着物と呼ぶ。漂着物を新たなプランターなどにリサイクルし、幼稚園などに持って行くことで、人とふれあい、社会奉仕にもなる。

(田川)日韓学生による海洋漂着物回収のプログラム。

韓国の南ソウル大学の安先生が日本に来た際に、日本海側の韓国からの漂着物の多さに衝撃を受けられ、韓国の学生にこの現状を知ってもらいたいと、始まったプログラム。今年で14年目。

鳥取から福井県までの海岸ぞいのゴミ清掃や環境セミナーや学習会をする。学生や地元の地域の人とふれあいながら、国際的な環境問題など将来どうなっていくべきかを話し合うのが大きな目的。

今年はマイクロプラスチックを中心に、海岸で25センチ四方の砂浜のゴミを数えた。

韓国の学生は、自国からのゴミの状況をみて恥ずかしいと口にする。自国での活動を見直そうと、日本のゴミを持ち帰り、現状を韓国で報告されたこともある。

(丸田)ジオパークの東端、京丹後市からやってきた。小島さんとは、長いご縁。

昨年11月に私たちが開いた最初の講演会をきっかけに、今日、ジオパークの西(鳥取)でプラスチックを考えようという機会が持ててありがたい。ゴミは西から流れてくるが、今回は山陰海岸ジオパークの東から西のほうへ発信でき嬉しい。

今年6月に2日間、香港から環境教育のために来ていた学生がこう言った。「自分が拾っても周りの人が捨てるから意味がないと思っていたが、やはり拾わないといけないと思った。」

琴引浜は170人、50軒くらいしか家はないが、村人全員がゴミを見つければ拾う。きれいに見える琴引浜でもマイクロプラスチックがたくさんある。世界の人と一緒にこの問題は発信していかなければならない。世界の人はみんな家族で、家族の国のことを思えば拾えると思う。

(村尾)残りの人生をマイクロプラスチックの削減と地球温暖化の防止に半生をかける。生活の質を落とさずにプラスチックゴミを減らすためにできることを全てやっている。ゴミ削減大作戦をした結果、日本人の平均の15パーセントに減った。日本人はリサイクルしておけば環境に優しいと勘違いしているかもしれない。間違いではないが、優先順位は下にくる。

リフューズ・リジェクト=断る、リデュース=減らす、リペア=修理、リユース=繰り返し使う、優先順位の一番下がリサイクル=再利用。なぜ減らさないといけないかというと、日本でペットボトルが回収される率は84パーセントと低くないが、リサイクルされる率は13パーセント。ほぼ燃やされるか埋められるか海外に運ばれ野積みに置かれ海に流れでる。

 

(小島)各パネリストの活動に敬意を表す。

パネルディスカッションの討論テーマは「今やっている活動に加えてやってみたいこと。」

(田川)1つ目。高校生と活動、環境教育など横のつながりをつくりたい。2つ目。国際交流でいうとベトナムやインドネシアなどとも交流しているので、日本だけ韓国とだけでなくアジアまで交流大学と交流プログラムを広げたい。3つ目。学術データをまとめ、地域の活動や政策につながるようなデータを作成したい。

(岩本)7年前に野柳地質公園に学生を連れて行きゴミ拾いなどをしたが学生交流は出来なかったので田川先生の韓国との交流は羨ましい。ジオカヌーや回収活動など高校生が活動するのに別の高校から自腹で来る。やりたいことはたくさんあるが、活動する際の移動など、資金面の問題などがクリアされることが願い。

(小島)海岸漂着物処理推進法を国が政策を出している。県の予算もあり、普及啓発等に使用できるので参考までに。

前嶋さん、漁業者として海底のゴミを回収されている活動を一般の人がついて行って見せてもらうということは難しいかもしれないが、何かの機会に多くの人に聞かせるような機会や何か思いはありますか?

(前嶋)今回は、休漁中に回収しているゴミ清掃の活動を紹介したが、操業中も網の中にゴミは入ります、多いときにはゴミの中から魚を選び出している状況。しかしゴミを持って帰ってこられないのが現状。一週間くらい船の上にいるとゴミを置くところがないくらいゴミが上がってくる。操業中にもゴミの処理をしたいという思い。

(小島)底引き網をかけゴミを見せてもらったことがある。少ないと言われながらも驚く量が上がった。漁業者が処理に出しているとのことであったが、魚をいただく消費者教育のなかでも伝えていかなければならない。

丸田さん、さらにこんなことやりたいということがあれば教えてください。

(丸田)鳴き砂文化館という拠点があるので、皆が来て、ここに来れば海ゴミ問題のことが分かる施設にして、学んでもらえる形を作りたい。また関心のない人たちにも関心を持ってもらうきっかけをつくりたい。

(小島)村尾さん、減らす出さない活動をされているが、今回様々な人がいる中で、一緒にこんなことが出来るというひらめきはありますか。

(村尾)私は科学者でも研究者でも教育者でもない、一市民。普及していく、ザビエルになるのが仕事と思っている。現在は山陰海岸ジオパーク推進協議会として講演会をしたり、中学校で話したりしている。自分の活動を話しに行く機会に呼んでいただけたら幸い。

(小島)全ての人が村尾さんの様になるのは難しいと思うが、やろうと思えばできること。大学や高校生にでも聞かせてあげたら楽しい話。海のゴミ問題についてこんなつながり、ネットワークとしてこんなことができるというアイデアはないですか。(参加者へ呼びかけ)

(一般)前嶋さんに是非やって欲しいことがある。韓国にチェジュジオパークがあり、イカ漁とジオガイドをやっている女性がいる。漁民にこのような問題があるということを理解してほしいので、協力して何かして欲しい。

(前嶋)韓国も一緒になってゴミ清掃をやっている。

(小島)韓国ではゴミの買い取り制度がある。漁場をキレイにすると魚もとれるという教育も平行して行っている。

(一般)自然公園財団として鳥取砂丘の清掃をやっている。毎日犬を散歩している時にゴミを拾っていた。すると子どもから「なぜごみを拾っているの?」と聞かれた。捨てたゴミは川を伝って砂丘にまで流れ着く。海外まで流れているということも今後伝えていきたい。これからはゴミを出さない活動をしていきたい。

(一般)いろいろな新商品がでる時に消費者への安全性や健康面などは気にする。しかしこういったゴミ問題も監視しブレーキをかけることができたらいい。

(村尾)鳥取ではレジ袋を有料にしている。消費者団体の声が始まり行政が無視できなくなった。小さな活動が徐々に大きくなっていくということもあると思う。

 

(小島)パネリストから最後に一言。

(前嶋)漁網も腐らないものに進化してやっかいな物になっている。昔はだめになったら海底で朽ち果てていたが今はいつまでも腐らず海底に残る。

(岩本)教育の中で生徒にどのように伝えていくか考えさせられた。メディアやマスコミの力も借りたい。公務員はSNSでの発信は難しい。みなさん是非SNSで発信してください。

(田川)国際的な問題なので、海外の大学との交流を含め、鳥取大学として地元への貢献として橋渡しとして大学を巻き込んでやっていきたい。地域の皆さんにも協力いただきながらやっていきたい。

(丸田)宿泊業もやっているが宿として何が出来るか考えた。宿泊者は、ビーチクリーンをした後、貝殻やビーチグラスを拾って鳴き砂文化館に持って行くと「証明書」をもらえ、次年度のはだしのコンサートにそれを持って行くとTシャツがもらえる仕組みをつくったが機能していない。なにができるか。

アメニティがいらない人にはキャッシュバックするなど浮かんだが実践には移っていない。村尾さんのように頑張りたい。

(村尾)NHKで3週間プラスチックフリーの生活をしたディレクターがいた。そのディレクターが感じたことと私が感じたことは同じ。スーパーに行くと買える物がないが、個人商店では裸で売っている野菜や果物がある。さらに店主と話をした。まちのなかの顔が見えた。プラスチックフリーの生活をしたことによって人間らしさを取り戻せたような気がした。スーパーが悪いとは言わないが、社会の仕組みを変える必要がある。日本ではピカピカのペットボトルしか売れないのでメーカーは毎回作り直すがドイツでは少々の傷やにごりがあっても再利用する。そのような文化が日本にも定着して社会の仕組みが変わることを望む。子どもたちから未来を奪うようなことはしたくない。子どもたちが暮らしていけないような世界は残したくないので実践をするのみ。

(小島)みなそれぞれヒントになるものがあったと思う。ありがとうございました。